乙女と酒と恋と。

227
3
10
1話から読む

ここできっとあの人を好きになった!

クリスマスイブの夜、賑わいと温かさを見せる街の様子とは裏腹に、報われない恋心を抱える四人の大学生の想いが交錯する。 大学の二回生である流太朗は、後輩の木下乃ノ花に恋心を抱き、同じく後輩の男子大生、木呑とは同じ恋路を競うライバル関係にある。そして、その流太朗に想いを寄せるのが、これまた後輩の女子大生、荒川である。 木呑は、その奥手な性格によって、陰湿なストーカー野郎に成り下がるだけで済んだが、思い込みが激しいところのある荒川の想いは、転じて流太朗の恋路を阻む魔法の効果を発揮してしまう。 すなわち、流太朗と木下の恋が絶対に成就しない魔法である。 それからというもの、流太朗と木下が言葉を交わそうとすると、決まってどちらか、あるいはどちらもがその場からたちまち消え失せて、ついに言葉を交わすことができないのであった。 この困難極まる状況を打開したのが、木下である。実は、木下も過去に鯉のぼりが取り持った不思議な縁によって、恋心までには至らないまでも、不思議に流太朗を意識していた。 ある日、荒川が恋心の暴走を抑えきれず、流太朗にタックルをかまし、失神させてしまうという悪質な事件が起きる。 これに便乗して悪巧みをしたのが、四人の所属する演劇サークルの顧問ナホちゃん先生と、暇を持て余した花売りの優作である。 二人は、あろうことか気絶した流太朗を景品に、飲み比べのお祭りを開催する。 このお祭りが、その後の四人の恋の行方を決めてしまった。 木呑は、木下が持つ流太朗への強い執着に打ちのめされ、また、荒川も木下との一騎打ちに敗れ、この競争から退くことを決めるのだ。 かくして、流太朗を手に入れた木下は、徐々に自覚し始めた恋心に誘われるように、流太郎への気持ちを語ろうとする。 しかし、こんな時にまで二人の邪魔するのが、あの魔法である。 手の届きそうなところで、消え失せようとする流太朗に、強い想いを感じて必死に願う木下の心が、また一つの魔法を生み出してしまう。 それは、二人を引き合わせる魔法である。 相反する二つの魔法が衝突したことで、木下は、時空までも超越し、過去の時間に置き去りにされてしまう。 しかし、禍転じて福と為す。この過去の体験の追憶が、二人の過去の縁を解き明かし、互いの気持ちを急接近させる契機にもなったのである。 魔法使いである木下の祖母の尽力により、魔法がようやくその効力を失う。 そして、二人はそれぞれの想いを胸に、文化祭公演の日を迎える。これまでの長いすれ違い、そして最後まで繰り返されるハチャメチャな展開を乗り越えて、二人はついに互いの気持ちを通じ合わせるのであった。

ここできっとあの人を好きになった!

クリスマスイブの夜、賑わいと温かさを見せる街の様子とは裏腹に、報われない恋心を抱える四人の大学生の想いが交錯する。 大学の二回生である流太朗は、後輩の木下乃ノ花に恋心を抱き、同じく後輩の男子大生、木呑とは同じ恋路を競うライバル関係にある。そして、その流太朗に想いを寄せるのが、これまた後輩の女子大生、荒川である。 木呑は、その奥手な性格によって、陰湿なストーカー野郎に成り下がるだけで済んだが、思い込みが激しいところのある荒川の想いは、転じて流太朗の恋路を阻む魔法の効果を発揮してしまう。 すなわち、流太朗と木下の恋が絶対に成就しない魔法である。 それからというもの、流太朗と木下が言葉を交わそうとすると、決まってどちらか、あるいはどちらもがその場からたちまち消え失せて、ついに言葉を交わすことができないのであった。 この困難極まる状況を打開したのが、木下である。実は、木下も過去に鯉のぼりが取り持った不思議な縁によって、恋心までには至らないまでも、不思議に流太朗を意識していた。 ある日、荒川が恋心の暴走を抑えきれず、流太朗にタックルをかまし、失神させてしまうという悪質な事件が起きる。 これに便乗して悪巧みをしたのが、四人の所属する演劇サークルの顧問ナホちゃん先生と、暇を持て余した花売りの優作である。 二人は、あろうことか気絶した流太朗を景品に、飲み比べのお祭りを開催する。 このお祭りが、その後の四人の恋の行方を決めてしまった。 木呑は、木下が持つ流太朗への強い執着に打ちのめされ、また、荒川も木下との一騎打ちに敗れ、この競争から退くことを決めるのだ。 かくして、流太朗を手に入れた木下は、徐々に自覚し始めた恋心に誘われるように、流太郎への気持ちを語ろうとする。 しかし、こんな時にまで二人の邪魔するのが、あの魔法である。 手の届きそうなところで、消え失せようとする流太朗に、強い想いを感じて必死に願う木下の心が、また一つの魔法を生み出してしまう。 それは、二人を引き合わせる魔法である。 相反する二つの魔法が衝突したことで、木下は、時空までも超越し、過去の時間に置き去りにされてしまう。 しかし、禍転じて福と為す。この過去の体験の追憶が、二人の過去の縁を解き明かし、互いの気持ちを急接近させる契機にもなったのである。 魔法使いである木下の祖母の尽力により、魔法がようやくその効力を失う。 そして、二人はそれぞれの想いを胸に、文化祭公演の日を迎える。これまでの長いすれ違い、そして最後まで繰り返されるハチャメチャな展開を乗り越えて、二人はついに互いの気持ちを通じ合わせるのであった。

1話から読む

エピソード

完結 34 (92,754文字) 2019.09.30更新

レビュー

star
3
(1件)
藤 幸人(ふじ ゆきと)

藤 幸人(ふじ ゆきと)

starstarstar Amazing!!!
heart heart0

動画を観ているような文面に驚きました。

登場人物に合わせて文面が代わり、とても楽しく読ませていただきました。 ストーリーも真剣でちょっと滑稽な若者の恋心が何とも癖になりそうです。 そして豊富な語彙や表現、そして幻想的で綺麗な文章がまるで動画を観ているようでした。 感動と共に、このような文章が書けることがちょっと羨ましく思いました。 次回の作品も楽しみにしています。

2019.11.29 01:47

作者情報